給排水配管の内視鏡調査で見えること
今回のビルのように築40年ほどが経過していると建物全体に老朽化が見られるようになります。
特に水廻りの設備は老朽化によって漏水を引き起こし、日常業務への影響や上下階の入居者様とのトラブルにもなり得るため詳しく調査を行うことをお勧めします。
今回は揚水管、給水管、排水管に内視鏡を通して配管の内部状況を調査しました。
当該ビルは揚水管・給水管は塩化ビニルライニング鋼管(以下 塩ビライニング鋼管)、排水管は耐火二層管という材質でできていました。塩ビライニング鋼管は、配管とメーターやバルブ等のネジ山が赤錆劣化しやすくなる特徴があります。
(ファイバースコープを配管内部に通して画像を記録します)※報告書画像は一例です
今回の調査では継手部に錆こぶ(配管の鋼と水の成分が反応してできる錆)が見られ、一部閉塞している箇所も見つかりました。今後、年数が経過すると錆こぶは更に隆起し、給水管の閉塞による流量低下、赤水の発生等が懸念されます。
また、継手部のネジ部が水に触れて錆が発生している箇所や、メーター廻りや水栓管端部は異種金属が接触することで腐食が進行し、錆こぶが多く見られました。こうした腐食がさらに進行してしまうと漏水が起こる可能性が高まります。
排水管においては、耐衝撃性で腐食に強い耐火二層管が用いられていることから、汚れの付着は認められたものの、不具合は認められないことが分かりました。
現時点で漏水が起きていない場合も、内視鏡で調査を行うことで配管更新の必要性や将来の工事計画を立てる重要な情報素材となります。築年数が経過したビルを所有されているオーナー様はご検討されてみてはいかがでしょうか。
【調査期間】1日
【延床面積】678.93㎡
【竣工年】1983年